「焼入れ」「焼き戻し」熱処理について詳しく解説!
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            熱処理の加工方法である焼入れ焼きなましに関して詳しくご説明します。
焼入れ焼き戻しは熱処理の加工方法の中では最も基本的なものです。
今回は、焼入れと焼き戻しに関して詳しくご紹介いたします。
焼入れ焼き戻しとは
焼入れ焼き戻しとは、金属材料の硬さや機械的性質を調整するための熱処理加工方法です。熱処理技術の中でも最も基本的で重要な位置を占めており、製造業において広く活用されています。
鋼材を加熱し、冷却することで金属組織を変化させ、強度・硬度・靭性などの特性を大幅に向上させることができます。
熱処理は大きく「全体熱処理」と「表面熱処理」に分類され、焼入れ焼き戻しは全体熱処理に該当します。
焼き入れとは(JISの加工記号「HQ」)
焼入れとは、鋼を硬く、強くする操作です。
鋼を変態点(組織の構造が変化する温度帯)以上、一般的には800℃以上に加熱し、一定時間保持した後、急激に冷却する工程を指します。
英語ではハードニング(Hardening:硬くする)やクエンチング(Quenching:急冷する)、もしくはクエンチ・ハードニング(Quench Hardening:急冷して硬くする)などと呼ばれます。
焼入れによる硬化の程度は、主に以下の要素で決まります。
炭素含有量:炭素量0.3%以上で焼入れ効果が期待できる
合金元素:クロム、モリブデンなどの添加により最高硬さや硬化深さが変化
焼入れ性:合金元素の種類と量により、冷却媒体を選ばず硬化する能力が異なる
焼入れ性が良い鋼種は空気冷却や油冷でも十分に硬化しますが、焼入れ性が悪い鋼種は水などで急速冷却する必要があります。
また、冷却には水冷・油冷・空冷・塩浴などあり、鋼種や用途によって選択します。
焼き戻しとは(JISの加工記号「HT」)
焼き戻しとは、焼入れした鋼を再加熱して硬さを調整しながら、粘り(靭性)や強靭性を高める作業です。
英語ではTempering(テンパリング)と呼ばれます。
また、焼き戻しは大きく「低温焼き戻し」と「高温焼き戻し」という2種類に分けられます。
-  低温焼き戻し
- 処理温度:150~200℃
 - 保持時間:約1時間
 - 組織変化:硬くて脆い焼入れマルテンサイト → 粘りのある焼き戻しマルテンサイト
 - 効果:
- 焼入れによる内部応力の除去
 - 耐摩耗性の維持
 - 割れや変形の防止
 - 経年変化への耐性向上
 
 - 適用例:工具、ゲージ、金型など高硬度が必要な部品によく使われます。
 
 
- 高温焼き戻し(調質処理)
- 処理温度:550~650℃
 - 保持時間:約1時間
 - 冷却方法:空冷または油冷
 - 特徴:
- 残留オーステナイトがマルテンサイトに変化
 - 再度焼き戻しを実施することがある(二重焼き戻し)
 - 強度と靭性のバランスに優れる
 
 - 適用例:シャフト、歯車、工具類、構造部品など強靭性が必要な部品によく使われます。
 
 
2025年における熱処理技術の動向
近年、製造業全体でCO₂排出量削減とエネルギー効率化が重視される中、熱処理分野でも環境に配慮した技術革新が進んでいます。
特に注目されているのが高周波誘導加熱(IH)技術です。
この技術は秒単位で1000℃まで急速加熱が可能であり、従来の炉加熱と比較して大幅な省エネルギー化を実現します。また、燃焼を伴わないクリーンな処理方法として、環境負荷の低減にも貢献しており、普及が進んでいます。
そして熱処理工程においても、デジタル技術の導入が急速に進展しています。
温度や時間などの工程パラメータをデジタル管理することで、処理品質の安定化と再現性の向上が図られています。
また、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)を活用した品質管理の高度化も進んでおり、リアルタイムでの品質監視や予測保全が可能となっています。これにより、不良品の発生を未然に防ぎ、安定した品質を維持できるようになりました。
当社の製缶機械加工サービスのご紹介
製缶機械加工における熱処理対応サービス
熱処理対応の一貫サービス
当社では、製缶加工において焼入れ焼き戻しが必要な部品について、工程設計から最終仕上げまで一貫して対応しています。
最適な工程管理
材料特性と加工精度を両立させるため、「粗加工、熱処理、仕上げ加工」の工程順序で管理しております。
また、20社以上の協力企業ネットワークにより、それぞれの工程を専門技術で対応します。
対応可能な製品
- ブラケット
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 - フレーム
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通常の製缶機械加工業者の繁忙期においても、ネットワーク内の空き状況を活用した柔軟な対応が可能です。
焼入れ焼き戻しに関わらず、熱処理に関しては深江特殊鋼株式会社にお任せ下さい!
焼入れ焼き戻しは、金属材料に硬さと強靭性を与える基本的かつ重要な熱処理技術です。適切な温度管理と冷却方法により、部品の用途に応じた最適な特性を実現できます。
2025年現在、環境配慮型の処理技術やデジタル化が進展しており、より効率的で高品質な熱処理が可能となっています。
深江特殊鋼株式会社では、長年の経験と広範な協力企業ネットワークを活かし、焼入れ焼き戻しを含む各種熱処理に対応しております。お気軽にご相談ください。










