ものづくりトピックス

ワイヤーカットとは

ワイヤーカットを簡単に説明すると、細いワイヤーに電流を流し、その熱により金属を溶かして切断を行う加工方法のことを指します。使用されるワイヤーとしては、細さ0.1~0.3mmほどの真鍮製のものがよく使われます。真鍮が使用される理由としては、導電性に優れた素材であるためです。

下の写真が実際にワイヤーカット加工が行われている際のものです。

ワイヤーカットについて動画でも詳しく解説しております。

 

ワイヤーカットと放電加工の関係性について

ワイヤーカットとよく似たものとして、放電加工というものが挙げられます。放電加工とは、工作機械に取り付けられた電極とワークの間にアーク放電を繰り返し発生させることにより、ワークの一部分を削る加工方法のことを指します。ワイヤーカットも、この放電加工の1種として分類されます。

この2つの関係性を分かりやすく例えるのならば、
魚（放電加工）という分類の中にある、マグロ（ワイヤーカット）をイメージすると、理解しやすいかと思われます。
図で表すと下記の通りです。

 

ワイヤーカットの用途

ワイヤーカットの用途としては、通常の切削加工では難しい薄板素材や、ステンレス、真鍮、超硬合金などの超硬素材の加工が挙げられます。これはワイヤーカットが、いくら硬度が高くても、導電性を持つ素材であれば、切断可能であるためです。この特徴から、産業機械業界や航空機業界などの様々な業界でワイヤーカットは活躍しています。

 

ワイヤーカットの原理

前述の通り、ワイヤーカットは真鍮製の細いワイヤーに電流を流すことにより、加工が行われます。具体的には純水（不純物が少ない高純度の水）で満たされた加工槽の中で、ワイヤーとワークの間に爆発放電を発生させ続け、その熱でワークを溶かし切断させることにより加工が行われます。この際に、ワイヤーとワークは直接接触せず、電流を近づけることにより金属が切断されます。電流の温度は6000度以上に上ることもあるため、これによる素材の膨張を防止するために、純水で満たされた加工槽には冷却機能が備えられています。

 

ワイヤーカットのメリットとデメリット

ワイヤーカットのメリットとデメリットは下記の通りです。

 

メリット

メリットとしては、いくら硬度が高くても、導電性を持つ素材であれば、切断可能であることの他、

・加工に用いられる真鍮製ワイヤーが安価であるため、加工コスト削減が可能

・円弧状や、円弧状と直線状の組み合わせなどの複雑形状加工が可能

・0.005mmレベルの高精度が実現可能

・バリが発生しないため、加工工数の削減が可能

・素材への負荷が少ないため、膨張や変形を抑制可能

などが挙げられます。

 

デメリット

デメリットとしては、

・切断に特化した加工であるため、底面を残した加工ができない

・少しずつワークを溶かして加工を行うため、加工速度が遅い

・導電性を持たない素材への加工が不可能

・水平方向の加工に適さない

などが挙げられます。

 

レーザーカットとはどのように違うのか

ワイヤーカットと共通点の多い加工方法として、レーザーカットというものが存在します。

レーザーカットはレーザー光による熱で加工を行うため、金属以外にも、木材や樹脂などへの加工も可能です。加えて、加工速度もワイヤーカットよりも優れております。

しかし、精度においては、ワイヤーカットが0.005mmレベルの性能を持つのに対し、レーザーカットは0.05mmレベルの性能となっております。そのため、精度においてはワイヤーカットに軍配が上がります。

 

当社のワイヤーカット加工事例

ワイヤーカットなどの精密切削加工による製造装置部品製作

こちらは半導体業界向け、特に５G業界向けに製作をした製造装置部品です。

材質はDC53を使用しており、旋盤、フライス・研削・ワイヤーなどによる精密切削加工によって製作しております。

またサイズはΦ30×30で、全カ所幾何公差0.01以下の高い精度で製作しております。

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ワイヤー放電加工機も深江特殊鋼では社内設備しておりますので
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