鍛造とプレス加工の違いとは?
- 大型機械加工
- 鍛造・鋳造
鍛造とプレス加工の違いとは?
ともに金型を使用する塑性加工である鍛造加工とプレス加工。YouTubeなどで加工動画を見ると全く同じ加工方法のように見えますが、実際は明確な差異があります。
そこで本記事では、鍛造加工・プレス加工のプロフェッショナルであるメタナビが、鍛造とプレス加工の違いについて解説します。
鍛造とは?特長と種類
鍛造とは、金属材料がもつ”塑性”という性質を利用して目的の形状に成型する塑性加工の一種です。
金型(鍛造型)と鍛造機械を用いて圧力を加えながら成型するため、強度が高まることから、自動車や航空機、産業機械など強度が必要な部品の量産において活躍しています。ワーク温度によって①熱間鍛造、②冷間鍛造、③温間鍛造という3つに分類することができ、製品用途やサイズ、必要な精度・品質に応じて使い分けられています。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
プレス加工とは?特長と種類
プレス加工(英語:Stamping)とは、鍛造同様、主に金属の自動車部品や家電部品の量産に適した加工方法で、プレス機にセットしたプレス金型を使用してワークを目的の形状に成型します。
一般的なプレス加工の工程としては、
- ①製品仕様・図面を元にプレス金型を設計する
- ②金型図面を元に、マシニングセンタ等の機械加工設備を用いてプレス金型(※上型=パンチと下型=ダイを合わせて一つの金型)を製作
- ③プレス金型をプレス機にセットし、バーフィーダ・レベラーフィーダで鋼材・鋼板を供給して成型を行う
- ④必要に応じて、カシメ・溶接・切削加工など2次加工とメッキ・塗装などの表面処理を施す
という流れになります。
プレス加工は、成型方法やプレス機の種類によって数種類に分けることができます。
<成型方法による分類>
- せん断・抜き:鋼材・鋼板を切断もしくは穴あけするプレス加工。ブランクとも呼ばれ、特に高精度のせん断加工を「ファインブランキング」(精密せん断)と呼びます。
- 絞り:ワークを金型内に押し込んでカップ型・箱型の立体形状に成型するプレス加工。特に、背の高い絞りを「深絞り」と呼びます。
- 曲げ:文字通り、ワークを曲げるプレス加工。曲げ角度によって、V曲げ、L曲げなどがあります。プレスの曲げ加工で問題となりやすいのが「スプリングバック」で、パンチで押し込んだ後にワークが戻り目的の角度が出ない可能性があるため、注意が必要です。
<プレス機の種類による分類>
- 順送プレス(プログレッシブ加工):一つの金型に複数工程が備わっているため、極めて高い生産性と加工精度を誇る。その分金型自体が高価であるものの、トランスファー機構(搬送機構)が不要というメリットがある。
- トランスファープレス(TRF);単工程の金型とトランスファー機構を駆使して加工するプレス設備になります。生産性は順送プレスに劣り、金型費用に加えてトランスファー機構の調達・設計製作費用が発生します。ただし、材料歩留まりは良好で、比較的大物の部品量産にも適しています。
- 単発プレス:一工程を一つの金型・プレス機で行う方式です。ワークの搬送は人手で行うため生産性は高くありません。試作・トライや単品・小ロット品に用いられます。
- タンデムプレス:複数台の単発プレスを並べて一つのラインを構築したものです。柔軟なライン構築・変更が可能です。搬送機構や中間テーブルなどが必要になります。
鍛造とプレス加工の違い
鍛造とプレス加工の違いは、①ワーク板厚②ワーク材質③加工後の歪抜きという3点に集約されます。
鍛造はビレットと呼ばれる肉厚の鋼材・鋼板を使用することが多いのに対し、プレス加工ではブランクと呼ばれる薄肉のワークを加工します。ワーク板厚の差異は金型にかかる負荷と関係が深いため、設計の際には注意が必要です。
また、ワークの材質については、
- ・鍛造:SWCH材など強度・硬度が高い鋼材
- ・プレス加工:軟鋼(普通鋼)とも呼ばれるSPCC材・SPHC材
という違いがあります。
さらに鍛造は、加工中の板厚変化が大きくワーク内部に応力が残りやすいため、焼鈍しなどの熱処理が必要になります。
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