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インコネルの加工に関して詳しく解説!|非鉄金属加工

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インコネルの加工に関して詳しく解説!|非鉄金属加工

非鉄金属 インコネル

非鉄金属は様々な種類に分けることができます。非鉄金属は、鉄および鉄が主成分である鋼以外のすべての金属を、非鉄金属といいます。 代表例は銅、アルミニウム、亜鉛、鉛、スズ、ニッケル、マグネシウムになります。今回は非鉄金属の1つである「インコネル」に関して事例含めてご紹介させて頂きます。
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1. インコネルとは

インコネルは、ニッケルを主成分とした合金鋼の一種で、「スーパーアロイ」とも呼ばれています。高温強度、耐食性、耐酸化性に非常に優れており、航空機エンジン、ガスタービン、化学プラント、原子力発電所など、過酷な環境で使用される部品に幅広く利用されています。

インコネルは、ニッケル基合金の中でも析出硬化型合金に分類されます。これは、合金中に微細な析出物を生成させることで強度を向上させる仕組みです。主な析出物としては、γ’相(ガンマプライムそう)と呼ばれるNi3(Al,Ti)化合物や、γ”相(ガンマダブルプライムそう)と呼ばれるNi3Nb化合物が挙げられます。これらの析出物は、高温での強度やクリープ特性に大きく貢献しています。

>>ニッケルの加工について詳しく解説!|非鉄金属加工

 

インコネルの結晶構造は、面心立方格子(FCC)と呼ばれる構造です。この構造は、原子配列が密で、滑り系が多いため、延性や靭性に優れています。

インコネルの優れた耐熱性、耐酸化性、耐食性は、その組成と微細構造に由来します。ニッケルは、高温での強度や耐酸化性に優れており、クロムは耐食性、モリブデンは耐孔食性や耐隙間腐食性を向上させます。また、高温下では、インコネルの表面に緻密な酸化皮膜が形成され、これが内部を保護することで、優れた耐酸化性を発揮します。

インコネルには、様々なグレードがあり、それぞれ組成や特性が異なります。代表的なグレードとしては、インコネル600、インコネル625、インコネル718、インコネルX-750などが挙げられます。

  • インコネル600: ニッケル-クロム合金で、耐食性、耐酸化性に優れています。化学プラント、食品加工装置、熱処理炉などに使用されます。
  • インコネル625: ニッケル-クロム-モリブデン合金で、耐食性、耐孔食性、耐隙間腐食性に優れています。海洋構造物、化学プラント、航空機部品などに使用されます。
  • インコネル718: ニッケル-クロム-モリブデン-ニオブ合金で、高温強度、耐食性、耐クリープ性に優れています。航空機エンジン、ガスタービン、ロケットエンジンなどに使用されます。
  • インコネルX-750: ニッケル-クロム-鉄合金で、高温強度、耐食性、耐応力腐食割れ性に優れています。航空機エンジン、原子力発電部品、バネなどに使用されます。

 

2. インコネルの加工方法

インコネルは、その優れた特性を持つ反面、加工硬化を起こしやすく、工具摩耗が激しいという特徴があります。そのため、加工には高度な技術と適切な工具、加工条件の選択が求められます。主な加工方法としては、切削加工、溶接加工、熱処理などがあります。

 

切削加工

インコネルの切削加工では、加工硬化による切削抵抗の増加、工具寿命の低下、びびり振動の発生などが課題となります。また、熱伝導率が低いため、切削熱が工具に集中しやすく、工具損傷や加工歪みの原因となります。

これらの課題を克服するため、適切な工具選択と切削条件の設定が重要です。工具材料としては、超硬合金、サーメット、CBN、セラミックス、ダイヤモンドなどが使用されます。コーティングとしては、TiN、TiAlN、Al2O3などが有効です。

切削条件は、加工硬化を抑制するために切削速度を抑え、切れ刃の強度を考慮して送り量と切込み深さを調整する必要があります。また、切削油剤、水溶性切削液、ミスト冷却などを効果的に利用することで、工具の冷却と潤滑を行い、工具寿命の延長と加工精度の向上を図ります。

旋削加工、フライス加工、穴あけ加工のそれぞれにおいて、工具の選定、切削条件の設定、冷却・潤滑、振動抑制など、注意すべき点が異なります。

>>大型旋盤加工および旋盤加工とは?当社の保有設備や加工実績について詳しくご紹介

>>BTA加工の特徴と加工事例

 

近年では、高圧クーラント、超硬エンドミル、振動切削など、最新の切削技術が開発され、インコネルの加工効率と加工精度が向上しています。

 

溶接加工

インコネルの溶接加工では、高温割れ、溶接変形、熱影響部への影響などが課題となります。高温割れは、溶接金属や熱影響部が高温で脆化し、冷却時に発生する収縮応力によって生じる亀裂です。溶接変形は、溶接時の熱入力によって母材が変形する現象です。熱影響部では、組織変化、硬化、脆化などが生じ、機械的特性が低下する可能性があります。

これらの課題を克服するため、適切な溶接方法の選択と溶接条件の設定が重要です。インコネルの溶接には、TIG溶接、レーザー溶接、抵抗溶接などが用いられます。

  • TIG溶接: タングステン電極を用いたアーク溶接で、高品質な溶接が可能です。
  • レーザー溶接: レーザー光を用いた溶接で、熱影響部が小さく、精密な溶接が可能です。
  • 抵抗溶接: 電流を流して発熱させる溶接で、高速な溶接が可能です。

溶接条件は、電流、電圧、溶接速度、シールドガスなどを適切に設定する必要があります。溶接欠陥としては、ブローホール、アンダーカット、クラックなどが挙げられます。溶接後の熱処理(応力除去焼なましなど)を行うことで、残留応力を除去し、機械的特性を改善することができます。

 

熱処理

インコネルの熱処理は、強度向上、延性向上、応力除去などを目的として行われます。主な熱処理方法としては、固溶化処理、時効処理などがあります。

  • 固溶化処理: 高温に加熱して固溶体を形成した後、急冷することで、組織を均一化し、強度と延性を向上させる処理です。
  • 時効処理: 固溶化処理後、適切な温度で保持することで、微細な析出物を生成させ、強度を向上させる処理です。

熱処理は、温度、時間、冷却速度などを適切に制御する必要があります。熱処理による組織変化は、機械的特性(硬度、強度、延性、靭性)に大きく影響します。熱処理炉としては、電気炉、ガス炉、真空炉などが使用されます。熱処理における注意点としては、酸化防止、変形防止、割れ防止などが挙げられます。

 

3. インコネルの用途

インコネルは、その優れた特性から、様々な分野で利用されています。主な用途としては、航空宇宙産業、エネルギー産業、化学プラント、自動車産業などが挙げられます。

  • 航空宇宙産業: ジェットエンジン、ロケットエンジン、航空機構造材など
    • 高温強度、耐食性、耐クリープ性が求められるジェットエンジンやロケットエンジンの部品に最適です。
  • エネルギー産業: ガスタービン、原子力発電部品など
    • 高温高圧下で稼働するガスタービンや原子力発電所の部品に、耐熱性、耐食性、耐クリープ性に優れたインコネルが使用されます。
  • 化学プラント: 反応容器、配管、バルブ、ポンプなど
    • 腐食性物質を扱う化学プラントでは、耐食性に優れたインコネルが使用されます。
  • 自動車産業: 排気系部品、ターボチャージャー部品など
    • 高温になる排気系部品やターボチャージャー部品に、耐熱性、耐食性に優れたインコネルが使用されます。

その他、医療機器、海洋開発、電子部品など、様々な分野でインコネルが利用されています。

 

インコネルは非鉄金属の一種です。インコネル以外の非鉄金属についても詳しく解説しております!

 

>>非鉄金属の加工について、加工のポイントを解説!

>>ニッケルの加工について詳しく解説!|非鉄金属加工

 

インコネルの加工の事例・実績

①プラント設備のシャフト

こちらはプラント設備に使用されるシャフト部品です。 材質はインコネル、外形φ60、長さ150mmの素材にφ8のガンドリル加工、旋盤での荒加工を実施しました。

インコネルはニッケルにクロム、鉄、炭素等の様々な合金成分を添加した素材です。 耐熱性、耐食性が非常に高く、プラント設備や焼却炉、航空機部品等の高温下な状況でも十分な強度が確保できる素材です。 そのため機械加工性は悪く、高精度加工を実施するためには特別なノウハウが必要となります。

BTA・ガンドリル.COMでは非鉄金属も豊富な加工経験を活かし、問題なく対応しております。ご検討の際は、是非お問合せ頂けますと幸いです。

>>詳細はこちら

非鉄金属の加工に関するよくある質問

Q.片側貫通は可能ですか?

A.基本的には両側貫通にて加工しておりますが孔径と長さによっては、片側貫通可能でございます。 詳細はお問い合わせにてご確認ください。

Q.どこまでの長さが加工可能ですか?

A.自動見積では2000mmまでですが、それ以上もケースによっては加工可能です。 詳しくは、お問い合わせください。

Q.孔径、孔の曲がりの公差はいくつ程度ですか?

A.孔径:±0.2~0.3程度 孔の曲がり:1mにつき1mm程度 ですが、小径の場合は曲がりが大きくなる場合があるため、別途お問い合わせにてご確認ください。

Q.加工面の面粗度はいくつ程度ですか?

A.標準では、Ra=25にて対応しております。

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